こころの病気について
About mental disease
ただし、こころの病気は人それぞれですので、当てはまらない場合もあると思います。
その際でもお気軽に当院にご相談ください。
不眠症
症状
- 寝つきが悪くなった
- 夜中や明け方に目が覚める
- ぐっすり寝たきがしない
- 寝たのに全く疲れがとれない
こころの健康をうつすサインとしてもっとも大切なのが睡眠です。さまざまな心身の不調から不眠=睡眠障害をきたすことがあります。きっかけとなった原因をさぐりとりのぞくこと、生活習慣をみなおすことから始め、必要であれば一時的にお薬も使用します。不眠のなかにも、眠った感じがしない、寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚めるなどのタイプがあり、それぞれにあったお薬を選びます。最近では、これまでになかった睡眠ホルモンに関連したお薬も開発されています。
もの忘れ/認知症
症状
- 最近あった出来事をよく忘れる
- 家族の名前をまちがう
- 料理の味付けがかわる
- 物事のだんどりが悪くなった
主に高齢の方で、同じことを何回も言う、あった出来事を忘れる、今いる場所や一緒にいる人のことが不明確になる、料理や趣味など今まで段取りよくできていたことが難しくなるなどで、日常生活に支障をきたすことが目立つようになると認知症が疑われます。体の動きが悪くなったり、気分が落ち込んだり、性格がかわったようになる症状がでる場合もあります。日常や診察場面での様子、画像検査などを合わせて診断、治療していきます。(画像検査は近くの総合病院にご紹介させていただきます。)認知症の治療では、ご本人の治療に加え、サポートの仕方や体制を整えていくことが重要であり、またサポートする側の方々の負担が軽くできるようなケアも同時に行っていきます。
うつ病/適応障害
症状
- 気分が落ち込む
- やる気が出ない
- なにごとも楽しめなくなった
- 眠れない
- 食欲がなくなった
気分が落ち込む、やる気が出ない、楽しめなくなった、眠れない、食欲がないなどの症状が長く続くことが主な症状です。「こころや体が重くて動けない」状態です。うつ病は原因やきっかけが見当たらない場合もあり、しっかりと休みながら、お薬を服用することも大切となります。適応障害は、うつ病のような症状がありますが、きっかけとなる状況や環境(いわゆるストレス因)がはっきりとしており、それをどのように処理、消化していくかがポイントとなります。必要に応じて休養やお薬での治療も行います。
全般性不安障害
症状
- イライラがとれない
- ばくぜんと不安で仕方がない
- まったく落ち着かない
- 自分が重い病気じゃないかと疑う
ストレスが元で、不安や緊張感が強く続き、結果として眠れなくなったり、イライラしたり、落ち着きが保てなくなったりして、日常の活動に影響が出てしまう状態を言います。ストレス自体を自覚できていないこともよくあります。「~となったらどうしよう」といった先案じが高じており、実は取り越し苦労になっている場合が多いです。過度な不安や緊張を減らすために、ストレスの受け止め方や処理の仕方を考えたり、お薬での治療を行います。
パニック障害/社会不安障害
症状
- 突然、胸がドキドキしたり、汗をかいたり、呼吸が荒くなる
- 満員電車や人込みをいつも避ける
- 人に注目されるような機会をいつも避ける
パニック障害は、比較的、決まった場面(電車や人込みなど)で何とも言えない恐怖感が突然おそってきて、同時にひどく汗をかいたり、胸がどきどきしたり、呼吸が荒くなったりして、自分ではコントロールができなくなります。社会不安障害は、いわゆる対人恐怖症で、他人に注目されるような場面で過剰な不安や緊張が出現し、そういった場面を極端に避け続ける状態です。いずれも強い不安、緊張に対して、お薬での治療や、不安や緊張が高まる場面に逆に徐々にならせていくこと(暴露療法と言います)、物事のとらえ方をみなおし行動の変化をもたらすこと(認知行動療法)などが効果的です。
強迫性障害
症状
- 手を何回も洗ってしまう
- 鍵を閉めたか何回も確認してしまう
- 家の中の物でも、汚れていると思って触れない
自分ではバカバカしいと思っても、ある考えや行動から抜け出せなくなり、続けてしまい、生活に支障をきたしている状態です。具体的には1日に何時間も手を洗ってしまう、鍵の閉め忘れがないか数十回も確認してしまう、家の中の物が汚染されていると思って全く触れられないなどの症状です。また自分だけでは完結できず、無理に他人にそのような行動をかたがわりしてもらうこともあります。お薬の服用、前述した、暴露療法、認知行動療法などが治療法としてあげられます。
統合失調症
症状
- 家の中が盗聴されているように思う
- 知らない人に監視されているように思う
- みんなに悪い噂をされているように思う
- 自分をバカにする声が聞こえてくる
“自分は自分である”という感覚(=自我)があいまいになる状態が主です。具体的には自分の考えが自分のものかわからなくなったり、周りで起こっている出来事が自分を中心に起こっているような感覚を覚えたりします。人の声が聞こえる(=幻聴)や現実にない考え(=妄想)などが生じます。その内容は「悪いうわさをされている」「誰かにねらわれている」「盗聴されている」などと怖さを伴うことが多く、それにより感情も不安定になります。お薬での治療が主になります。近年では副作用も軽減された効果の高いお薬が開発されてきており、より安全に治療が行える状況になっています。
躁状態/躁病
症状
- ハイテンションになる
- 怒りっぽくなる
- 高い買い物を迷わずする
- とてもえらくなった気がする
うつと反対の状態で、理由もなく気分が高まり、いわゆる“ハイテンション”な状態が数日も続きます。「自分はなんでもできる!」と気が大きくなり、機嫌が極端によい一方で怒りっぽくなったりします。数日間眠らず活動できたり、行動にも抑制がきかなくなり、高価な物を迷わず買ったりしてしまいます。躁状態/躁病の多くは、うつの時期も伴います。躁状態のときは、本人は気分がよく自覚も乏しいため、周りの方が受診を勧めないと、治療が開始できない場合も多いです。お薬での治療で気分の安定化を図っていきます。
アルコール依存症
症状
- お酒での失敗が増えた
- お酒で肝臓を何回も悪くしている
- 休日は朝から1日中飲んでしまう
- お酒がないと手がふるえる
もともとお酒をよく飲む方が、ストレスなどで徐々にお酒の量が増え、お酒にまつわる問題(肝臓を悪くしたり、仕事でトラブルを起こすなど)が繰り返し起こっても、お酒をやめられない状態をいいます。お酒を飲まないと、イライラしたり焦ったりしてしまう精神依存と、手が震えたり汗をよくかくなどの身体依存の両方がみられます。治療目標はお酒を完全にやめ続けていく“断酒”になります。依存症の場合、自分自身、問題であることは分かっていても「○○だから仕方ない…」と飲み続けることに理由づけをしてしまいます。まずは「お酒をやめる」という動機が芽生えるようなはたらきかけを行っていきます。
情緒不安定性パーソナリティ障害(ボーダーラインパーソナリティ障害、境界性人格障害)
症状
- 常にイライラしたり落ち込んで、時に自分を傷つけてしまう
- 他人のささいな言動に、とても揺れ動いてしまう
- 人を好きになったり憎んだり、簡単に極端に気持ちがかわる
感情が不安定で人間関係がうまくいかず、うつっぽくなり、リストカットや過量服薬などの自傷行為を行ってしまいます。他人のことを大好きだと思っていても、ささいなことで憎むほど嫌いになったりと、両極端を揺れ動き、結果、相手や自分自身を激しく責めてしまいます。自分自身を愛すること(=自己愛)や他人を信頼すること(=基本的信頼感)が不安定であるといわれています。治療はカウンセリングを中心に行っていきます。
発達障害(ASD:自閉症スペクトラム障害・ADHD:注意欠如多動性障害)
症状
- 空気がよめないとよく言われる
- 何をするにもとても時間がかかる
- 集団では人が言っている意味がよく分からない事が多い
- うっかりミスが多すぎる
- いつもあとさきを考えず大切な決断をしてしまう
自閉症スペクトラム障害では、社会性やコミュニケーションに困難さがあったり、強いこだわりがみられます。具体的には、お世辞を字義通りとらえてしまったり、いわゆる暗黙の了解が分からなかったり、独特の言葉づかいがあったり、課題をこなす時に順番や決め事が多く時間がかかり過ぎて終わらないなどがあげられます。
注意欠如多動性障害では、注意が不十分で持続しないこと、気が散りやすいなどの症状と、衝動的で、常にあとさきを考えず行動が先に出てしまうなどの症状が見られます。具体的には、財布や携帯など大事な物をよくなくしてしまったり、時間の約束を守れなかったり、思ったことをすぐ口に出してしまったり、衝動買いをしたりなどがあげられます。発達障害という概念は“障害”ではなく「発達の程度のばらつき」「発達の凸凹」としてとらえることが大切で、それぞれの方の特性=個性に合わせた現実的な対処法を見い出したり、以前より生活しやすくなっていくことが目標となります。また症状によってはお薬の服用が効果的な場合もあります。
摂食障害
症状
- やせているのに太っていると感じて食事を制限する
- 何時間も食べ続けてしまったり、そのあと吐いたりする
- 人前で食事ができなくなる
無理なダイエットなどがきっかけで、極端にやせているにも関わらず、自分は太っていると感じ、食事を制限し続けてしまう状態です。逆にとまらなくたくさん食べ続け、その後吐いてしまうといったこともあります。人前で食べることを次第に避けてしまうようになります。またうつ状態や気持ちの不安定さを伴うことも多いです。お薬の服用やカウンセリングにて気持ちの安定化を図っていきます。食べないこと、食べ吐きすることが大きなストレス発散法になってしまっているため、他の健康的なストレス発散法を見い出していくことも目標となります。